市原看護専門学校創立50周年を迎えてー追補版ー
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創立50周年に寄せて  創立50周年という半世紀に亙る歴史的な節日、今回この機会にめぐり逢えたことに感謝しつつ記憶をたどることにします。 私と市原看護専門学校との出会いは、平成5年、市原に転居して間もなく、八幡運動公園に子どものソフトボールの試合の応援に出かけた時です。何気に目にした看護学科併設に伴う「教員募集」の広告です。 急速な少子高齢化、医療の高度化、高学歴化、人々のニ―ズの多様化等により看護には高度な技術、知識、判断力、リーダーシップ、創造性が求められるようになってきていました。必然、看護教育にもこれらのことを教育することが求められたのです。 看護学科(2年課程)は開設準備室を経て平成7年に開校し、私はその教育に携わらせていただきました。第1回生の入学試験は、校合に入りきれず隣の青少年会館をお借りしたのを覚えています。時の流れとはいえ少子化が懸念されます。何はともあれ、看護学科における准看護師としての背景は、准看護師養成校の卒業生で准看護師として働いた経験も0〜10年ぐらいまで様々であり、年齢も18歳 〜50歳前後と幅広く、又、大学卒業者もいます。 いろんな経験を持つもの、子どもを育てているママさん学生、男子学生がいます。看護師になりたい理由は、独自の判断で看護にあたりたい、アセスメントする知識を身につけ看護計画を立案したい、看護を発展させるために看護研究ができるようになりたい…。多くの学生は看護師の後姿に自分たちが学ぶべきことを見ており、目的意識をしっかりもって入学してきます。入学までのプロセスはまちまちですが看護師に求められる資質を求めようと向上心を持った彼らは私にとって、新鮮でした。全てははじまりの頼もしく賑やか絵図でした。働きながら学ぶという強い精神と行動力、看護に誇りを持っている、看護の目標を高く掲げている、粘り強さとしたたかさ、相手を思いやれる、実習場で涙を浮かべている姿、そのような彼らの姿勢に私のほうが励まされることもしばしばでした。私たちの仕事は「どれだけ人間を見つめる力があるか、その目の前にいる人にどれだけ考慮できるか」にかかっています。彼らと一緒に「看護とは」を問い、一緒に学んだ日々は楽しく、卒業後は地域の医療機関で活躍している姿を見るにつけ誇りに思います。 70歳を過ぎました。今でも彼らに会いに出かけています。彼らの向上心を見つめたいがために。看護の原点である、ナイチンゲール看護論で武装し「今起こっている疑問から出発して、あるべき姿を求める作業」を続けてほしいです。 以上、市原看護専門学校の更なる発展を切に願います。■講師  小児看護学I、老年看護学II■44宮坂 清子

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